肝と肌の となりさん。
肝と肌の
となりさん。
くすみの源は、肌にはない。
肌のくすみという言葉は、よく使われます。でも、その「くすみ」の正体を、一段深く辿っていくと、肌の中ではなく、もっと内側の臓器の話に行き着きます。
「くすみ」とは何か
肌のくすみは、単一の現象ではありません。少なくとも5つの異なる原因の、総称なのです。
| 種類 | 正体 | 主な原因 |
|---|---|---|
| メラニンくすみ | 紫外線によるメラニンの蓄積 | 紫外線・炎症 |
| 酸化くすみ | 脂質の酸化による黄ぐすみ | 活性酸素 |
| 糖化くすみ | タンパク質の糖化による黄褐色 | 糖質過多・代謝低下 |
| 血行不良くすみ | 血流停滞による青ぐすみ | 睡眠不足・冷え |
| 角質くすみ | 古い角質の蓄積 | ターンオーバーの乱れ |
この5つのうち、薄紫で示した「酸化くすみ」と「糖化くすみ」が、Ritinnéが見ている主役です。そして、この二つは肌の外側からではなく、体の内側から作られています。
酸化と糖化、二つの錆び
酸化は、活性酸素によって細胞内の脂質が傷つけられ、過酸化脂質という物質に変わる現象。蓄積するとリポフスチンという黄褐色の色素になり、肌に黄ぐすみとなって現れます。
糖化は、体内で余った糖がタンパク質と結びついて、AGEs(終末糖化産物)という褐色の物質を作る現象。コラーゲンに蓄積すると、肌は黄褐色になり、弾力も失います。
この二つは、肌の中だけで起きているわけではありません。日中、体内では紫外線・ストレス・食事・呼吸など、あらゆる刺激から酸化と糖化のもとが生まれ続けています。では、誰がそれを処理しているのでしょうか。
体の中で最も多い抗酸化物質、グルタチオン
ここで一つの主役が登場します。グルタチオンという物質です。
グルタチオンは、グルタミン酸・システイン・グリシンという三つのアミノ酸からなる、小さなペプチド(タンパク質の断片)です。体内のほぼすべての細胞に存在し、その役割は驚くほど多彩です。
最強の還元装置
グルタチオンは、抗酸化物質の中でも特別な存在です。自分自身が酸化を中和するだけでなく、ビタミンCやビタミンEといった他の抗酸化物質を「再生」する能力を持っているからです。
この働きは、抗酸化ネットワークと呼ばれます。一つの抗酸化物質が酸化されて疲れたら、別の抗酸化物質が肩を貸して、回復させる。リレーのように繋がっています。グルタチオンは、その司令塔です。
グルタチオンが減れば、
抗酸化ネットワーク全体の余力が下がる。
メラニンへの介入
もう一つ、美容の文脈で重要な働きがあります。グルタチオンは、メラニン生成の経路にも介入することが報告されています。黒色のメラニンの生成を抑え、明るい色のメラニンへの切り替えを促す。これが、美容クリニックの白玉点滴でグルタチオンが使われる理由です。
つまりグルタチオンは、酸化を中和する機能と、メラニン制御の機能の両方を持っている。肌の透明感を内側から支える成分として、これ以上ない素材です。では、このグルタチオン、体内のどこで最も多く作られているのでしょうか。
グルタチオン工場としての肝臓
答えは、肝臓です。
肝臓は、体内のグルタチオン合成の中心的な臓器です。全身のグルタチオン在庫の多くを保有し、必要に応じて他の組織へ供給する役割を担っています。肝臓を「内側の精錬所」と呼ぶ理由は、ここにあります。
肝臓の二つの仕事
ところが、肝臓は同時に、もう一つ別の仕事も抱えています。それが、解毒。
アルコール、添加物、薬剤、過剰な脂肪、ストレスホルモン。体に入ってくるさまざまな物質を、肝臓は処理し続けています。そして、その処理のたびに、肝臓はグルタチオンを大量に消費します。
| 肝臓の仕事 ① | 肝臓の仕事 ② |
|---|---|
|
解毒 外から入ってくるものを処理する グルタチオンを使う仕事 |
グルタチオン合成 抗酸化の原料を全身に供給する グルタチオンを作る仕事 |
ドミノの始まり
日中、肝臓は休む間もなく解毒を続け、グルタチオンを使い切っていきます。すると、全身に回るはずだったグルタチオンが、足りなくなります。肌の細胞に届くグルタチオンも減ります。肌の抗酸化余力が、落ちていきます。
酸化が処理されず、過酸化脂質が蓄積する。糖化が処理されず、AGEsがコラーゲンに蓄積する。
そして、翌朝の鏡に、
くすみとして現れる。
つまり、肌のくすみは、肌の問題ではないのです。肝臓のグルタチオン在庫が枯渇した結果が、肌に投影されている。それが、酸化くすみと糖化くすみの正体です。
くすみの源は、肌にはない。
ここまでで、肌のくすみと肝臓のグルタチオンの関係が見えてきました。でも、物語はここで終わりません。肝臓のグルタチオンを枯渇させている、本当の原因はどこにあるのか。次のページで、ドミノをもう一段上流へ辿ります。
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